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味岡 毅の『グローバル製造業のための勝てるコストを作り込む「攻めの生産管理」』|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、Dunyaturuソリューションズをご利用ください。

特集・コラム

第1回 総論 「守りの生産管理」から「攻めの生産管理」への挑戦 第1回 総論 「守りの生産管理」から「攻めの生産管理」への挑戦

総論

 日本の製造業の海外進出は、アベノミクス政策を追い風に益々増加の傾向が見られるが、その目的に於いてやや以前の傾向とは異なってきている。
 一昔前は安い労働力を求め、まさに「製造コストの削減」を主目的に海外に生産拠点を移転するケースや、大得意先企業の海外進出に合わせて進出するケースが目立っていたが、結局は後者も得意先企業の低コスト調達レースに脱落しないためのものであり、上記2つのケースは同類に分類できる。
 ところが、最近、著者が接している製造業ユーザ様の声や、経済産業省の海外事業活動基本調査(図1)を見ていると昨年ぐらいから海外進出の目的は明らかに「市場の開拓による売上拡大」に重点が置かれているように見える。

図1 大企業・中小企業が投資決定時に重視するポイント

経済産業省 海外事業活動基本調査(2013年調査)

図1 大企業・中小企業が投資決定時に重視するポイント

 新興国を含めた新規の市場を狙うことは、容易な事ではない。以前のように日本の製造業が、明らかに技術力や資金力で他国を圧倒していた時代はともかく、現在は世界第2位の経済大国にまで上り詰めた中国が、豊富な資金力を使ってさらにコストの安い東南アジアへも製造拠点を拡大しており、また技術者のヘッドハンティングなど盛んに行っている。加えて、製品品質についても、比較的単工程の加工・組立品などは、日系企業製品とあまり差がないレベルにまで来ている。

 このような状況の中で、日本の製造業が世界を相手に勝ち抜いていくには、どうすればよいのか?
 一般的な解としては、製品品質を高いレベルで保った上で、どれだけコストダウン(価格競争力を発揮)できるかであろう。

 無論、そんなことが簡単に出来るわけではない。しかしこれらを阻害している原因が必ずあるはずである。
 我々と親交のあるグローバル製造業様数社でのケースを調べていくと、個別・固有の事情が原因の問題もあるが、どの製造業にも共通するのは、日本のガバナンスが効かない事に起因した問題である。
 今まで日本企業は海外に製造拠点を作るたびに、日本人スタッフを派遣し、モノ作りの方法やコスト管理、品質管理などを教えてきた。工場立上げが終わると、一部の日本人スタッフ数名(経営責任者や生産責任者、品質管理者)を残して、帰国するか、また別の海外拠点に回る。これを 現地化と呼び、出来るだけ現地の従業員に生産を任せていくという方法を進めてきた。
 この現地化を進めた結果、副作用として ①全社基準値とのかい離 ②業務プロセスの属人化 が進んでしまい、益々日本側のコントロールを難しくしている原因の1つになっている。

図2 現地化による拠点間の壁

図2 現地化による拠点間の壁

 だからと言って、現地担当者を再度教育することも、ましてや日本人スタッフを増員派遣することも現実的ではない。
 当社では、これらの問題の解決策として、(詳細は次回以降に述べさせていただくが)概ね下記のアプローチ/仕組みをご提案している。 概念イメージとしては図2のように 各拠点間に存在する見えない壁に日本側からいつでも必要な情報を取り出せる風穴をあけ、日本側のリーダーシップのもと現地をコントロールする事ではないかと考えている。

(1)全社の事業計画や利益計画に基づき、 各拠点製品のあるべき原価目標を設定する。
(2)各拠点の生産BOMや各基準値(購買単価、ロット、ST ※1など)情報を一旦
   引き上げて、分析評価する。
(3)あるべき原価にするにはどうすればよいかについて、日本側の基準等に照らし合わせ
   ながら、具体的な施策を現地に提案・理解してもらい、 コストに関わる基準値の
   見直し
を行う。
(4)特にコストに影響するラインや工程については、状況を日本側でも直ぐに掴める
    (現場見える化)ようにする。
(5)実際原価を正確に捉え、目標原価(基準値)とのかい離の程度を掴み、その原因を
    工程や部品レベルまで踏み込んで評価し、今後どう改善していくかなどのアクション
   プラン立案・フォロー
を日本側のリーダーシップの下で行う。

※1:Standard Time

 結局、これらの手法は何一つ目新しいものではなく、普段国内の各工場間や工場内で行われている事を、拠点間の物理的な距離や国を意識せずに、各種の生産実態をタイムリーに掴むことでガバナンスを効かす事であると考える。

図3 弊社が考える「攻めの生産管理」の概念イメージ

KPI:重要業績評価指標

図3 弊社が考える「攻めの生産管理」の概念イメージ

Dunyaturu 産業・流通システム事業本部  味岡 毅の写真

Dunyaturu
産業・流通システム事業本部 企画本部 プリセールス部
味岡 毅

1984年4月入社後、一貫して製造業の生産管理システム再構築に従事。
電機・精密製造業、自動車部品製造業など約20社以上の生産管理システム構築プロジェクトに参画。
国家資格である高度情報処理技術者(システムアナリスト、システム監査、プロジェクトマネジャ他)取得。
現在は主に業務系ソリューションの拡販を中心に活動中。

・電子機器メーカにおける統合生産管理システム 再構築(プロジェクトマネージャ)
・自動車会社における統合部品表システム PMO(プロジェクトマネージメントオフィサー)
・その他、自動車部品製造業、農機具製造業等でのプロジェクトマネージャ経験 多数

連載目次

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