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3ページ目|第1回 なぜ、今までのやり方では通用しないのか? 読み解くキーワードは「複雑系」。|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、Dunyaturuソリューションズをご利用ください。

知らなかったではもう済まされない 夏野剛の「複雑系思考講座」
第1回 なぜ、今までのやり方では通用しないのか? 読み解くキーワードは「複雑系」。

情報爆発によってもたらされた複雑系。境界なき時代をどう生きるのか

この「複雑系」と「閉じた系」の考え方を踏まえて、現実の世界をみていくと、なぜ「今までのやり方が通用しなくなったのか」がより鮮明に理解できます。かつての情報流通の手段は、テレビや新聞、雑誌などから個人へ、という方向に限定されていました。1対Nというかたちで発信側と受信側が明確に区別されていたので、大多数の消費者は情報に乏しく、行動は画一的でした。
 だからこそ、世の中が変化する方向性や選択肢は有限で、変数を固定するという「閉じた系」の考え方ができたのです。

従って、企業は過去の延長から将来のトレンドを予測し、マーケティングを行うことができました。経営陣に求められる役割は、発生した問題に対し、過去の経験を参考にしながら、大過なく対処すること。それに適しているのはどんな人材かというと、同じ会社で何十年にもわたって無難に仕事をしてきたような人です。そういう人には、過去の努力への報酬として、「役員」というポストが与えられました。

ところが、その状況は、「IT革命」を機に一変しました。主にインターネットの登場により、個人の情報収集力が爆発的に増大した結果、画一的だった消費者行動が多様化。消費者心理もガラリと変わり、予想もつかない行動や現象も現れてきました。そうなると、変数(その他の条件)を固定することができませんから、「要因分析」が通用しなくなる。すなわち、「閉じた系」の考え方では、もはや将来のトレンドを正しく予測することはできませんし、マーケティングもうまくいかないことは言うまでもありません。

それでも、世の中が「閉じた系」から「複雑系」へと変わったことを理解できず、いまなお「閉じた系」に固執している企業や経営者が意外に多いようです。ここ数年、誰もがその名を知っている大企業が突然倒産したり、苦境に陥ったりしていますが、その原因は、そういった企業の経営トップが「閉じた系」に固執しており、「複雑系」への対応に失敗した、という場合がほとんどであると私はみています。

その一方で、「複雑系社会の特性」をフルに生かした新興企業が、世界の中心へと一気にのし上がりました。その代表が、グーグルやアップル、フェイスブックなどです。こうした企業の経営者は、企業内の「閉じた系」から上がってくる以上の一次情報を手に入れられるようになったことで、自らの産業という「閉じた系」だけでなく、他の産業の力を使うようになりました。具体的には、異なる業界との提携や買収が当たり前になったのです。

米国においては教育や研究分野においても顕著で、学際(interdisciplinary)と言う認識が当たり前です。固定した学問や科目・コースと言った考え方は希薄で、極めてその境界が曖昧であって、日本では考えられないような異分野間の相互乗り入れが常態化しています。

このように、社会を「複雑系」としてとらえなければ、理解できない現象が相次ぐようになりました。たとえば、自動車業界でいま一番注目されているのは、「テスラ」です。テスラモーターズはIT界のカリスマで今や宇宙開発を手掛けるイーロン・マスク氏が経営に携わる電気自動車メーカー。ITをふんだんに盛り込んだというよりも、ITがタイヤを履いて走るという車を生み出しました。というように、最早、自動車をつくるのは既存の専業カーメーカーだけという時代ではなくなりました。一つの業種や業界だけしか知らないようでは、もう生き残れないのです。

近年、まったく異なる産業と提携・買収したりと、複雑系概念を利用した企業が成功している
近年、まったく異なる産業と提携・買収したりと、複雑系概念を利用した企業が成功している

ずっと同じ業界で、同じ仕事だけをやってきた会社、つまり「閉じた系」の会社は、かつては効率が良くて安定もしている優良企業とみなされてきましたが、今では逆に危ない会社だとみられます。なぜなら、そうした会社では、業界の枠を超えた新しい発想が出てきにくいと思われるからです。

ここまでお話すれば、もう「今までのやり方では通用しない」理由はお分かりですね。「複雑系」は、それまでの自然科学や社会科学を根本から変えるものであり、その変化をもたらした「IT革命」は、誤解を恐れずに言えば、かつての産業革命よりも、過去に人類が経験したどの革命よりも影響力のある、有史以来最大の革命である、と私は思っています。それほどドラスティックに世の中が変わったわけですから、今までのやり方が通用しないのは当たり前なのです。

 ここをもう一度、しっかりと認識してください。そして、「複雑系」の考え方をよく理解すること。スタートはそこからです。

次回予告

第2回   「複雑系」社会におけるリーダー論

夏野氏は「複雑系」社会への対応に遅れてしまった日本は、もう待ったなしの状態だと言います。そこにはこれまでの「調整型」ではなく、組織のトップとして自ら答えを出す「決断型」リーダーが求められているとも。答えのない混迷の時代に、自らの経験に基づいた知力や判断力を駆使しながら組織を導いていくリーダーとは?その仕事ぶりや心構えについてご説明します。

※このコラムの内容は、講師の方の見解です。

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