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3ページ目|第1回 シアトル・マリナーズ イチロー選手「モチベーションにおける持論とコントロール」|金井壽宏のモチベーション講座|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、Dunyaturuソリューションズをご利用ください。

金井壽宏のモチベーション講座
第1回 シアトル・マリナーズ イチロー選手「モチベーションにおける持論とコントロール」

自分を見つめ、仮説を実践する「内省的実践」から誕生したイチロー選手の「持論」

なお、「持論」というのは言葉の通り、「その人が持っている論」なので、一人ひとり異なります。我を忘れて没頭することや、逆に切羽詰まって必死にやることを思い出してみると、自分なりの傾向が見えてくるでしょう。逆に、スランプを感じたり、やる気がなくなる時も、なんらかの傾向があるはずです。そして、人の言葉や事象など、モチベーションを喚起する起爆剤となった物事も思い出しませんか。「持論」を持つためには、まず「自分を知ること=内省」からはじめる必要があるでしょう。

その作業においては、やみくもに考えてもあまり意味がありません。自分の本質をかくして、むしろ表層的な分析に留まる可能性があるからです。それよりも過去を振り返って、そのモチベーションの波を記した「やる気!チャート」(ライフライン)を描き、その変局点に着目することが有効です。

図:著者の「やる気!チャート」

もちろんイチロー選手にも、永遠にモチベーションを高いところに保ち続けてきたわけではなく、山あり谷ありだったといいます。その1つのマイナスへの変局点がオリックスが優勝したとき。200本安打のあと、約4年間を苦しみ抜いたと振り返っています。

4年間、実力の半分も出すことができなかったと思っています。…苦しくて苦しくて、何度も崩れ落ちそうになりましたよ ※3

この時に苦しんでいたのは、チームの低迷と自分自身の野球に対する不安だったと、後に語っていますが、表層的には首位打者であり続け、周囲からは賞賛を浴びていた時期でした。結局は、もがき苦しみながらも練習を続け、イチロー選手が後に「形」と呼ぶ、「自分の野球」を体得することになりました。また、自分の傾向として、外的な要因のプレッシャーを感じていると、モチベーションを保つことが難しいと気がついたわけです。そう気がついた後のイチロー選手の言葉には、「形」の大切さや、外的なものに左右されず自らの内的なモチベーションを保とうとする意志が感じられます。

1998年までのぼくは、自分の『形』を探すのに精一杯だったのです ※2

自分の『形』を作ってからというのは、毎年、自分への期待が大きいです。自分がベストな状態でプレイできる状態に持っていく自信は強いですから ※2

第三者の評価を意識した生き方はしたくありません。自分が納得した生き方をしたいです ※2

イチロー選手は、4年後のマイナスからプラスに転じた変局点で、「小さな積み重ねの先にこそ得られるものがある」、そして「自らの中にモチベーションの泉を持つこと」の大切さを知ることになります。そして、それを実際に実践し、実感を積み上げていきました。「内省し、実践する」そのスタイルが、後のイチロー選手の「持論」構築に大きな影響を与えたであろうことは想像に難くありません。

確かにイチロー選手のような「内省的実践家」は、一見するとストイックにも見え、私たちのような凡人には困難なようにも見えます。しかし、自分でモチベーションの変局点をコントロールできるようになるのは、さほど難しいことではありません。たとえば「これをいわれると元気になる言葉」や「着るとやる気が起きる服」など、なんでもいいのです。

後に他者からの評価をモチベーションに意識しないと語ったイチロー選手も、オリックスに入団して首位打者になったばかりの頃は、ある新聞記者の「鈴木一郎という選手は、使い続ければ必ず首位打者になる」という記事を心の拠り所にしていたといいます。

つまり、「持論」は、その人とともに成長するもの。まずは、あなた自身の「持論」を明確にするために、自分自身の過去と現在を見つめること、イチロー的「内省的実践」からはじめてはいかがでしょうか。

参考文献

  • * 1『イチロー思考』児玉光雄(東邦出版)
  • * 2『イチロー262のメッセージ』夢をつかむイチロー262のメッセージ編集委員(ぴあ)
  • * 3『イチロー・オン・イチロー Interview special edition 』小松成美(新潮社)

次回予告

第2回   シアトル・マリナーズ イチロー選手 「モチベーションの成長と言葉力」

イチロー選手の「持論」も、年齢を重ねるごとに少しずつ変化が生まれているように感じられます。 それがどのように変化し、どんな効果をもたらしたのか、イチロー選手の言葉を年代ごとに追いながら考えていきます。

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