【平成の世にサムライを探して】第137回 株式会社MUJIN CTO 兼 共同創業者 出杏光魯仙「生産の完全自動化を実現するための挑戦」|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、Dunyaturuソリューションズをご利用ください。

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【平成の世にサムライを探して】第137回 株式会社MUJIN CTO 兼 共同創業者 出杏光魯仙「生産の完全自動化を実現するための挑戦」

工場などの生産ラインや物流センターで使われる産業ロボット用のコントローラを開発・販売しているベンチャー企業がMUJINだ。同社が手がける世界最高水準の「知能ロボットコントローラ」とはどのようなものなのだろうか。アメリカからあえて日本に渡って会社を立ち上げた出杏光魯仙(デアンコウ・ロセン)氏に話を聞いた。

産業用に特化することでパフォーマンスを最大化

出杏光魯仙(デアンコウ・ロセン)プロフィール

1983年ブルガリア生まれ。
92年、9歳の時に一家でアメリカに移住。高校でコンピューターサイエンスと人工知能について学び、カーネギーメロン大学のロボティクス研究所で「自律マニピュレーションシステムの自動構築」のテーマで博士号を取得する。
卒業後の2011年に日本で「MUJIN」を共同設立する。

※黒字= 出杏光魯仙氏

── 「知能ロボットコントローラ」とは具体的にどのような技術なのでしょうか。

従来、工場の生産ラインなどで使われてきた産業用ロボットのコントローラは、いわゆる制御機器でした。細かな作業工程をロボットに教え込むことをティーチングといいますが、そのティーチング通りにロボットを動かすのが制御機器です。
制御機器の最大の問題は、作業の内容が少しでも変わると、改めて工数がかかるティーチングをやり直さなければならない点にあります。しかも、ティーチングができるのは、高度な技術を持つ人件費の高い技術者です。その人がいないと、ロボットによる自動化は実現しない。それがこれまでの一番の問題点でした。

出杏光魯仙氏の画像
出杏光魯仙氏

── 人が介在する、いわば限定的な自動化だったということですね。

そうです。それに対して、私たちが開発した知能ロボットコントローラは、ティーチレス、つまりその都度作業内容を教え込むことなしに、カメラやセンサーなどから得た情報によって自分で動きを判断し、適切な作業を自律的に行うことができます。

── そのコントローラは、どのような用途で利用されるものなのですか。

いろいろな用途がありますが、代表的なものは「ピック&プレイス」です。ばらばらに積み重なった部品や荷物を一つずつ確実にピックアップして、適切な場所に置いたりはめ込んだりする作業で、製造ラインのほか、物流センターなどでも広く必要とされる用途です。
3次元にランダムに重ねられたものを正確につかむために要する情報と計算の量は膨大です。そのため、作業対象がランダムになればなるほどスピードも遅くなるというのが、これまでのロボットの世界の常識でした。大手小売企業主催のピック&プレイスのコンテストを見ると、ピッキングできる荷物は、上位のチームで10分に10個程度です。一方、MUJINなら、10分で100個以上の荷物のピック&プレイスを実現しています。

── MUJINロボットコントローラは、AI(人工知能)の一種と考えればよいのでしょうか。

最近話題となっているディープラーニング、つまり機械学習をするようなタイプのAIではありませんが、AIの一種ではあります。AIが自ら学習し、能力を上げていくディープラーニングがこれからの世の中にとって必要な技術であることは間違いありません。しかし、ディープラーニングには「発展性はあるが、確実性が低い」という問題があります。最初は失敗する可能性があるが、学習によって精度が高まっていく。それがディープラーニングです。
一方、産業用ロボットに失敗は許されません。初期の段階では1時間に5分間停止したが、学習やトレーニングによって停止時間を1分以内に抑えることができた──。そのくらいの確実性では、産業用ロボットとしては通用しないのです。

── 生産ラインが少しの間でも止まると、損害は膨大になりますからね。

そうなんです。巨大な工場であれば、ほんの数秒止まっただけでも、損害額が数千万円になるケースもあります。私たちが取り組んでいるのは、作業工程で決してロスを生み出すことのない知能ロボットコントローラです。産業という用途に特化し、確実性を高めることで、最大のパフォーマンスを発揮する。そんな産業用ロボットを造ることこそが私たちの仕事です。

生産自動化技術を磨くなら日本こそがふさわしい

── なぜ、日本で会社を興そうと思ったのですか。

私は、ロボット技術が最も力を発揮できる分野の一つは産業用途であると大学時代から考えていました。生産を人の手ではなくロボットが担うようになれば、高品質の製品を安価で造れるようになります。そうなれば、現在よりもはるかに多くの人たちが最先端の製品を購入できるようになるでしょう。そればかりでなく、これまで生産ラインに携わっていた人は、ロボットのおかげで時間が空いて、その時間をもっと知的な仕事に充てることができます。

── 新しいアイデアの案を出したり、デザインを考えたり、新規事業をプランニングしたり…。

はい。そういうクリエーティブな仕事です。工場の生産ラインで人が働くということは、人が一種の部品供給装置になるということです。これまではそれも必要な作業でしたが、今後は、そのような体力的にきつい仕事はロボットに任せるべきである。それが産業用途へのロボット技術の適用を私が考えた理由でした。
しかし、アメリカ国内ではどんどんものづくりが衰退していっています。ものづくりをビジネスとするベンチャー企業はたくさんあって、そういう企業に資金を出すベンチャーキャピタルもたくさんあるのですが、そういうベンチャー企業はビジネスが軌道に乗ってくると必ずといっていいほどアメリカ国外に出ていきます。
それに対して、日本にはものづくりの確かな歴史があって、ものづくりに懸ける思いの強さも他の国とは格段に違います。生産の自動化技術を磨くなら、日本こそがふさわしいと私は考えました。

── 一時期、生産拠点を海外に移す企業が増えて、日本の製造業全体の空洞化が問題となったこともありました。

ええ。その風潮はこの数年で確実に変わったと私は感じています。コストだけを重視して、何でも海外に移すのは良くないことである。特に、ものづくりのような自国の強みが発揮される部分に関しては、そう考える企業が増えていると思います。

── やはり、ものづくりという点に関して、日本は特別なのでしょうか。

特別だと思います。生産工程が自動化することによる恩恵がどれだけのものか。それに対する想像力が日本の皆さんは非常に豊かです。それから、ものづくりへの熱心さ、品質を追求する気持ち、完璧になるまで諦めない心。そういった点が何より特別だと感じます。もっとも、そのような熱心さのおかげで、私はずいぶん悩まされてもいますが(笑)。

── ロボットに関しても、完璧なものを造るまで許してもらえないわけですね。

そうです(笑)。本当に細かなところまでパーフェクトにならないと、ご納得いただけません。しかし、それによって一緒に私たちの製品をブラッシュアップしていけると考えれば、これは間違いなく良いことだと思います。私たちが取り組んでいるような生産機械は、汎用品を造って手広く販売していくというモデルには合いません。お客様ときちんと人間関係をつくり、信頼関係を築いて、お客様からのフィードバックをいただきながら、より良いものを造っていくことが大切です。多少時間はかかっても、それが何より確かな方法だと思います。

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