Chapter02 プレゼンテーションの基本を学ぶ
具体的な事例をご紹介する前に、まずはプレゼンテーションとは何かを学んでみましょう。

「プレゼンテーション」の目的は、単に資料を説明することではなく、相手にアクションを起こさせることです。例えて言えば、映画の予告編のようなもの。予告を見ることによって、本編への興味がなくなったり、見なくても内容が分かってしまっては予告編の意味を果たしません。プレゼンテーション資料も、内容を詰め込み過ぎたり、必要以上に長過ぎたりするものはよくありません。相手をいかに次の段階へ導き行動させるか。それがプレゼンテーションのゴールになります。

プレゼンテーションの場では、スライドを見てもらいながら、ダイレクトに相手とコミュニケーションをとることができます。良いコミュニケーションをとるためにも、まずは相手が何を知りたいのか、相手視点で資料作成を行っていく必要があります。そう考えていくと、説明を受ける相手は、余分な話や要素は聞きたくありませんから、自然にポイントも絞られ「訴求力アップ+シンプル」なスライドになるはずです。
効果的なプレゼンテーションを作りたいのであれば、まずは相手が何を求めているかを考え、それを満たすものをメリットととらえ提案していきましょう。例えば、相手がコストを重視している場合は、メリットは「低価格で提供します!」であり、スピードを重視している場合は「短納期を実現!」となります。

スライド、配付資料については「見た目は中身だ」と考えましょう。 ある対象を評価するときに、顕著な特徴に引きずられてほかの特徴についての評価がゆがめられる現象のことをハロー効果と言います。例えば、「大学教授」という肩書があれば、その人のことを知らなくても、立派な人だと思ってしまうのも効果の一例です。
スライド資料や配付資料も同様で、それを見て「何か見にくいな」「雑だな」「ずれているな」と思われた瞬間に、企画そのものの中身も良くないと印象づけられてしまう可能性があります。内容がすごく良い企画であるのに、見た目が雑なせいで駄目だろうと判断されるのはもったいないことであるし、気をつけなければなりません。
ですから、PowerPointに時間をかけることは良くないと思われがちですが、やはり「きっちり仕上げる」ということが大切です。作り方をしっかり学べば、素早く作れるようになります。プレゼンテーションがきっかけとなり、 チャンスが生まれる場合もありますから、手抜きをせずに細部にこだわって作っていくことが求められます。

まずは手書きで構いませんから、シナリオ作りを行いましょう。企画書にしても、スライドプレゼンテーションにしても、話す内容とそこに書かれた内容、スライドに表示させたい内容を、ざっと書いていきます。イメージとしては、映画のシナリオ(脚本)を思い浮かべてください。内容が固まったら、テキストや図形や絵も入れていくと良いでしょう。順序は以下の通りです。
自分の頭を整理するために、アイデアの「5W2H」を書いてみましょう。
整理ポイント | 参考事例 | |
---|---|---|
Why | なぜそのアイデアが必要なのか | 20代女性向け新製品の売上増強のため |
What | どんなアイデアを提案するのか | 一般向けに販促イベントを実施 |
Where | どこでアイデアを実施するのか | 百貨店イベントスペース、Webにて展開 |
When | いつアイデアを実施するのか | 発売日より1ヶ月前 |
Who | 誰が実施するのか | 販促チーム、広告代理店 |
How | どのようにアイデアを実現するのか | 販促チームが主導となり実施 |
How Much | いくらの予算で実施するのか | 概算にて500万円 |
プレゼンテーション資料の構成についてはパターンがあります。以下におおよその例を書きましたので、流れに合いそうなもの抽出します。
【スライドプレゼンの場合】 | |
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タイトル | 効果のみえるタイトル |
課題 | 問題→課題を共有 |
解決策 | 具体的な解決策を提示 |
提供メリット | 相手のメリットを明示 |
裏付け | メリットの裏付けをデータや事実で提示 |
行動喚起 | 相手の行動を促すメッセージ |
ここで一番重要な要素は、このプレゼンテーションが聞き手にとって「メリットがある」ことを伝えることです。もちろん「その証拠(裏付け)」も必要です。相手が何を一番に必要としているか、しっかりと把握しながら構成を組み立てていきましょう。
構成が決まったら、企画の内容を落とし込んでいきます。ポイントは、1で書き出した文章を「キーワード化」「図形化」「グラフ化」していくことです。ここで、データが多くなる場合は、提案書と資料に分けていきます。
PowerPointをそのまま配付資料として印刷しているケースが見られますが、本来は別に作成するものです。 配付資料は、持ち帰ってじっくり読んでもらうものですから、スライドがそのまま配布資料になるということはありません。説明がつかなくても問題のないように、別の内容にて準備するように心がけましょう。